アルバニア共和国の国歌「旗への賛歌」は、オスマン帝国支配からの独立という熱い願いが込められた、国民の魂の歌です。この記事では、その歌詞が持つ深い意味や歴史的背景、そして音楽的特徴を掘り下げ、アルバニア国民の不屈の精神と、自由への情熱に満ちたこの国歌の魅力を解説します。
- 国名
- アルバニア共和国
- 曲名
- 日本語:ロシア連邦国歌(祖国は我らのために)
アルバニア語:Himni i Flamurit
英語:Hymn to the Flag - 採用時期
- 1912年11月28日
- 作曲者
- 日本語:チプリアン・ポルンベスク
アルバニア語:Ciprian Porumbescu
英語:Ciprian Porumbescu - 作詞者
- 日本語:アレクサンダー・アズドレニ(アスドラニ)
アルバニア語:Aleksandër Asdreni (Aleksandër Stavre Drenova)
英語:Aleksandër Asdreni (Aleksandër Stavre Drenova) - キー (調性)
- 変ロ長調 (B♭ Major)。変ロ長調は、温かく、力強く、そして穏やかな響きを持つ調性であり、国歌が持つ愛国心や希望の感情を表現するのに適しています。また、行進曲的なリズムと相まって、国民の団結と前進を象徴しています。
アルバニア共和国国歌の成り立ち
アルバニア国歌「旗への賛歌 (Himni i Flamurit)」は、その名の通り、アルバニアの象徴である国旗への深い敬愛と、独立への強い願いが込められた歌です。この歌は、アルバニアが長きにわたるオスマン帝国支配からの独立を宣言した1912年に正式に国歌として採用されました。
作詞者のアレクサンダー・アズドレニ(本名:アレクサンダー・スタヴレ・ドレノヴァ)は、ルーマニアに暮らしていたアルバニア人詩人です。彼は1912年に「ルーマニアの希望 (Shpresa jonë)」という詩を発表し、その一部が「旗への賛歌」の歌詞となりました。この詩は、当時のアルバニア民族の独立への切なる願いと、民族としてのアイデンティティを守ろうとする強い意志を反映しています。
一方、作曲者はルーマニアの作曲家チプリアン・ポルンベスクで、彼が1880年に作曲した愛国歌「Pe‑al nostru steag e scris Unire」のメロディーが採用されました。この曲はオーストリア=ドイツ音楽の伝統を受け、ウィーン音楽院で学んだ彼の作風を色濃く反映しています。異なる国の愛国歌のメロディーがアルバニアの国歌に採用されたことは、当時のバルカン半島の複雑な政治状況と、民族自決の動きが密接に絡み合っていたことを示唆しています。
このように、「旗への賛歌」は、アルバニア人の独立への渇望と、バルカン地域の他民族との連帯という二重の歴史的背景を持つ、非常に意義深い国歌と言えるでしょう。
アルバニア共和国の国歌「旗への賛歌」の歌詞解説
「旗への賛歌」の歌詞は、アルバニアの国旗である双頭の鷲と、国民の不屈の精神、そして祖国への献身を力強く歌い上げています。以下に原語、英語訳、日本語訳を示し、その意味を深く掘り下げていきます。
| アルバニア語 (原語) | 英語訳 (公式訳詞 “Hymn to the Flag”) | 日本語訳 (試訳) |
|---|---|---|
| Rreth flamurit të përbashkuar Me një zë të gjithë betohemi. Një flamur, një atdhe duke pasur Një besë e një ligj të gjithë mbajmë. |
Around our flag, united, With one voice we all pledge. Having one flag, one homeland, One faith and one law we all keep. |
我らの旗の周りに集い 一つ声で皆が誓う。 一つの旗、一つの祖国を持ち 一つの信念、一つの法を皆が守る。 |
| Nga betimi besa del Për liri, vdesim ne. Betimi besa del Për liri, vdesim ne. |
From the pledge, our loyalty comes forth, For freedom, we die. From the pledge, our loyalty comes forth, For freedom, we die. |
誓いから忠誠が生まれ出で 自由のために、我らは死す。 誓いから忠誠が生まれ出で 自由のために、我らは死す。 |
| O flamur, flamur i shënjtë, Në ty bashkojmë jetën tonë. Të gjithë ne, të bashkuar vëllezër, Të mbrojmë ty, o atdhe, do të bëjmë. |
Oh flag, sacred flag, In you we unite our lives. All of us, united as brothers, To defend you, oh homeland, we will. |
おお旗よ、聖なる旗よ、 汝に我らの命を結びつける。 我ら皆、兄弟として団結し、 汝を守らん、おお祖国よ、我らはそうする。 |
| Nga betimi besa del Për liri, vdesim ne. Betimi besa del Për liri, vdesim ne. |
From the pledge, our loyalty comes forth, For freedom, we die. From the pledge, our loyalty comes forth, For freedom, we die. |
誓いから忠誠が生まれ出で 自由のために、我らは死す。 誓いから忠誠が生まれ出で 自由のために、我らは死す。 |
重要なフレーズの解説
- Rreth flamurit të përbashkuar (我らの旗の周りに集い):
- この冒頭のフレーズは、アルバニア国民が国旗の下に団結し、共通の目的のために行動することを強く呼びかけています。国旗は、アルバニア民族のアイデンティティと独立の象徴であり、その周りに集うことは民族としての結束を意味します。
- Një flamur, një atdhe duke pasur / Një besë e një ligj të gjithë mbajmë (一つの旗、一つの祖国を持ち / 一つの信念、一つの法を皆が守る):
- 民族の統一と国家の主権を強調する言葉です。「一つの信念 (Një besë)」は、共通の価値観や民族としての精神を指し、長きにわたる外国支配下で守り抜いてきたアルバニア人の精神的な拠り所を示唆しています。
- Nga betimi besa del / Për liri, vdesim ne (誓いから忠誠が生まれ出で / 自由のために、我らは死す):
- このフレーズは、国歌の核となるメッセージであり、自由への強い渇望と、それを得るための自己犠牲の精神を表現しています。アルバニアがオスマン帝国から独立するまでの長い苦難の歴史を背景に、自由がいかに尊いものであったか、そしてそれを守るために命を捧げる覚悟があることを示しています。
- 「besa(ベサ)」はアルバニア語特有の概念で、「誓い」「忠誠」「約束」といった意味を持ちます。単なる約束ではなく、命をかけた絶対的な信頼と倫理観に基づいた誓約を指し、アルバニア人の文化に深く根付いています。この言葉が歌詞に登場することで、国歌の誓いが単なる言葉ではなく、民族の魂と直結していることが強調されます。
- O flamur, flamur i shënjtë (おお旗よ、聖なる旗よ):
- 国旗が単なる布ではなく、聖なる存在として崇められていることを示します。アルバニアの国旗に描かれた双頭の鷲は、中世のアルバニアの英雄スカンデルベグの紋章に由来し、民族の誇りと抵抗の象徴です。
アルバニア共和国国歌「旗への賛歌」の音楽的特徴と関連情報
「旗への賛歌」は、その力強い歌詞を支えるメロディーも特徴的です。変ロ長調の堂々とした曲調は、国民の連帯と独立への強い意志を表現しています。行進曲のようなリズムは、国民が一体となって前進する姿を想起させます。
楽譜・MIDIデータ、公式音源
この国歌の楽譜やMIDIデータは、以下の信頼できる外部サイトで入手できます。外部サイトへのリンクは、新しいウィンドウで開きます。
アルバニア共和国の国歌「旗への賛歌」の視聴
インストルメンタルバージョン
歌唱バージョン
国歌「旗への賛歌」の文化的影響/エピソード
アルバニア国歌「旗への賛歌」は、単なる国家の象徴に留まらず、アルバニア国民の間に深く根付いた精神的支柱です。特に、独立記念日である11月28日(1912年にオスマン帝国からの独立を宣言した日)には、国歌が盛大に歌われ、国旗が掲げられ、国民の愛国心を高める重要な役割を担っています。
この国歌は、コソボのアルバニア系住民の間でも、民族的なアイデンティティの象徴として歌われることがあります。コソボは歴史的にアルバニアと深い繋がりを持ち、多くのアルバニア系住民が暮らしているため、彼らにとっても「旗への賛歌」は特別な意味を持っています。コソボが独立した際には、一時的にこの国歌を独自の国歌とする案も浮上しましたが、最終的には別の国歌が採用されました。
また、国歌の歌詞に登場する「besa(ベサ)」の概念は、アルバニアの社会において非常に重要です。この言葉は、単なる約束ではなく、先祖代々受け継がれる「名誉の規範」として機能しており、国歌の誓いが民族の誇りと深く結びついていることを示しています。
結び
アルバニア国歌「旗への賛歌」は、アルバニア国民が長きにわたる苦難を乗り越え、自由と独立を勝ち取った歴史と、未来への希望を力強く歌い上げる歌です。その歌詞に込められた「自由のために命を捧げる」という決意と、「一つの旗、一つの祖国、一つの信念」の下に団結する強いメッセージは、アルバニア国民の不屈の精神と、祖国への深い愛情を象徴しています。この国歌を通じて、私たちはアルバニアという国の歴史と文化、そして国民の誇り高き魂に触れることができるでしょう。
アルバニアの概要
- 正式名称
- 日本語:アルバニア共和国
アルバニア語:Republika e Shqipërisë
英語:Republic of Albania - 首都
- 日本語:ティラナ
アルバニア語:Tirana
英語:Tirana - 独立年
- 1912年11月28日 (オスマン帝国より)
- 面積
- 約28,748平方キロメートル
- 人口
- 約283万人 (2023年推計)
- 公用語
- アルバニア語
- 民族
- アルバニア人 (約82.6%)、ギリシャ人 (約0.9%)、その他 (約16.5%)
- 宗教
- イスラム教 (多数派)、キリスト教 (正教、カトリック)
- 通貨
- レク (Lek, ALL)






